リバースストラテジーとは、日本語で「逆の戦略」を意味し、
タイヤを履く順番を逆にする戦略のことを指します。
今回は、そもそも通常のタイヤ戦略とはどういったものなのか、
リバースストラテジーのメリットについて解説しようと思います。
通常のタイヤ戦略
通常のタイヤ戦略は、スタートタイヤとしてソフト、ミディアム等の
柔らかいタイヤを履き、レースの4割程度でピットインし、
ミディアム、ハード等の硬いタイヤで最後まで走り切る
という戦略になります。
この戦略のメリットは、柔らかいタイヤでスタートすることで蹴り出しが良くなる、
つまり、スタートが有利になるということが挙げられます。
しかし、この戦略が採用される理由は、予選方式が大きく関係しています。
予選Q2を突破したタイヤでスタートしなければならないというルールにより、
必然的に上位10台は柔らかいタイヤでスタートすることになります。
予選方式については以下の記事で詳しく解説しておりますので、そちらをご覧ください。
リバースストラテジーとは
本題のリバースストラテジーは、硬いタイヤでスタートし、
レースの折り返しを超えてから柔らかいタイヤに交換するという戦略になります。
この戦略のメリットは、レース中の義務である1回目のタイヤ交換まで
長く走り続けられるということにあります。
例えば、レースの中盤でトラック上でアクシデントが発生し、
セーフティーカーが出動したとします。
通常の戦略のドライバーは既にピットストップを済ませているため
トラック上をゆっくりと走行するしかありませんが、
リバースストラテジーのドライバーはピットストップすることができます。
通常のピットストップで失う時間が約25秒程度で、
セーフティーカー出動中でのピットストップで失う時間は約15秒程度であるため、
約10秒得することができます。
もちろん、セーフティーカー先導の隊列が完全にできてしまってから、
ピットインするのは大きくポジションを失うので、
セーフティーカーが出動してすぐにピットインする必要があります。
また、トラック上での追い抜きが難しい現代のF1では、
ライバルと同じ戦略では勝機が薄く、あえて他の戦略を取ることもよく見られ、
そうした理由でリバースストラテジーが採用されることもあります。
その他、レース中に見られる戦略については以下の記事で解説しておりますので、
そちらをご覧ください。